漢方診療
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漢方診療
普段、当院に通院していただいている患者さんに診察の終わり際に『何か体の調子で困っていることはありませんか?』と聞くと、『天気の変わり目にめまいがあって、なかなか良くならない』とか『手足の先が冷えて困っている』など、いま治療している疾患以外にも様々なお悩みをご相談いただくことがしばしばです。症状によっては西洋の薬だけでは完全に対応しきれないこともあり、そんなとき漢方薬が患者さんの症状改善に大きく役立つことをしばしば経験します。その理由として、漢方医学と西洋医学は考え方やそれぞれが得意とする分野が異なり、西洋医学の手の届かないところに漢方は力を発揮するためです。
【漢方薬の成り立ち】
漢方薬は生薬の組み合わせで成り立っており、例えば有名な葛根湯の場合、葛根・桂皮(シナモン)・タイソウ(ナツメ)・芍薬・麻黄・生姜(ショウガ)・甘草で構成されています。化学的(人工的)に合成されて作られた単一成分の西洋薬と比べると、いくつもの生薬を組み合わせて作られた漢方薬がもたらす効能は幅広く、そのため複数の疾患や病態に対して全体を底上げするような厚みのある改善が期待されます。漢方薬を処方する際は、患者さんの症状や臓器を単一のものとして診るのではなく、身体全体を診てそのバランスを整えるような処方を考えます。西洋医学・東洋医学のそれぞれのメリットを最大限活かしながら、患者さんそれぞれの体質や、その時その時の体の状態にあわせた処方を提案してまいります。
【漢方が適した病態】
漢方処方は、誰もがもともと兼ね備えている、「自然治癒力」を高め、体の状態を整える効果を期待する処方が基本です。そのため、病名で診断するだけでなく、体質や病気の状態によって最適な薬を選び、使い分けることが大切です。 漢方は下記のような症状・病態に効果を発揮することが多く、各診療科の現代医学的標準治療で十分改善しない症状にも有効な場合があります。
●血液検査等では特に異常がないけど、つらい症状がある方
●西洋医学の治療で十分に改善しない方
●体調を崩しやすい、いつも調子がすぐれない方
などが良い適応になります。
具体的な症状としては、
- 冷え症、疲れやすい、風邪をひきやすい
- 胃腸が弱い、食欲がない、胃もたれする、下痢しやすい、便秘など
- 月経痛、月経不順、更年期障害、月経前症候群
- 肩こり、頭痛、腰痛、関節痛
- にきび、湿疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、しもやけ
- めまい、ふらつき、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎
- 自律神経の乱れによる体調不良
- 新型コロナウイルス感染後 後遺症
- 癌、慢性疾患などの体力、免疫力の増強
といった症状が代表的です。
【漢方診療の実際】
漢方診療では、患者さんの様子や体質傾向などを確認しながら、四診と呼ばれる診察方法によって診断を行います。四診とは、望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)の4つの診断方法の総称です。
望診; 視覚を用いて顔色や皮膚の色、姿勢などを観察します。
問診; 病状や既往歴、体質傾向(寒がり・暑がりなど)などを質問します。
聞診; 呼吸音や腸の音などを聴きます。
切診; 脈やお腹を触診します。
これら四診により証を明らかにし、患者さんの体質や今の状態に適した漢方薬の処方をおこないます。
当院では、まずは患者さんのお話をよく聞きながら、西洋医学・東洋医学のそれぞれのメリットを最大限活かしつつ、それぞれの体質や、その時その時の体の状態にあわせた処方を提案してまいります。日常的にお困りの症状がございましたら、お気軽にご相談ください。